配偶者ビザで離婚したら?14日以内手続き・在留資格変更と再婚/子供/帰国完全解説
「配偶者ビザで離婚した場合のあなたの在留資格は?」
本記事では、離婚後も日本での生活を継続するための初動対応から、在留資格変更の選択肢、必要書類、よくある落とし穴までを専門的観点から整理します。離婚で在留資格が直ちに自動消滅するわけではありませんが、14日以内の届出義務や、配偶者としての活動を6か月以上行っていない場合の取消し規定など、期限・要件を外すと在留継続が難しくなるため注意が必要です。
本記事でわかること:
- 離婚後すぐに行うべき届出と初動対応(14日届出・6か月ルール)
- 在留資格の変更選択肢(定住者/就労系/再婚による配偶者等)の比較と注意点
- 不許可・取消しを避けるための実務上のチェックポイント
- 帰国・一時帰国時の「みなし再入国許可」の基本
- 公的根拠(法務省・入管庁・e-Gov など)の原典リンク
離婚直後にやるべき最初の3ステップ
離婚が成立すると、「日本人の配偶者等」などの身分を基礎とする在留資格は、基礎事実(配偶者としての身分)が失われます。ただし、直ちに在留資格が消滅するわけではなく、所定の届出・変更申請を適切に行えば在留継続の余地があります(取消しの可能性はあり)。以下は緊急度の高い初動です。
① 14日以内に「配偶者に関する届出」を提出
離婚・死別があった場合は、14日以内に「配偶者に関する届出」を行う義務があります(入管法19条の16)。窓口・郵送・オンライン(電子届出)で対応可能です。
出典:配偶者に関する届出|入管庁/入管法(e-Gov)
届出義務違反の罰則:届出を怠ると、法令に基づき20万円以下の罰金が科される可能性があります。
出典:入管庁Q&A(届出義務違反の罰則)/入管法(e-Gov)
② 6か月以内に方向性を決める(在留資格の変更 or 出国)
「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」で在留している方が、配偶者としての活動を6か月以上行っていない場合、正当な理由がなければ在留資格取消しの対象になり得ます(入管法22条の4第1項7号)。
出典:在留資格の取消し|入管庁/「6か月」判断に関する資料(PDF)
在留継続を希望する場合は、状況に応じて定住者・就労系(技術・人文知識・国際業務 等)・再婚による配偶者等などへの変更可能性を検討します(いずれも個別審査)。
出典:在留資格「定住者」/在留資格「技術・人文知識・国際業務」/在留資格「日本人の配偶者等」/関連ガイドライン等
③ 必要書類と立証資料の収集を開始
在留資格変更の審査では、立証責任は申請者側にあります。雇用契約・課税証明・納税証明・養育実績(子がいる場合)など、要件に応じて早期に準備を始めましょう。
出典:定住者(要件・提出書類)/技人国(要件・提出書類)
離婚後に選べる代表的な在留資格ルート(概要)
具体的な許否は個別審査です。以下は制度上の要点のみを、公的情報を基に中立に整理したものです(数値目安は避け、原則表現で記載)。
就労系(技術・人文知識・国際業務 など)
- 主な基準:学歴(大学・専門学校等)や実務経験と、職務内容の関連性/受入企業の継続性・契約の実在性/報酬は日本人と同等以上が原則。
出典:在留資格「技術・人文知識・国際業務」/明確化資料(改正情報) - ポイント:給与の「水準」そのものに固定基準は示されていませんが、「同種業務の日本人と同等以上」が要件趣旨です。
定住者(離婚後・子がいる等の事情)
- 人道上・社会的事情に照らし相当と認められる場合に許可され得る在留資格。典型例として日本人(又は永住者)の実子を監護・養育しているケース等。
出典:在留資格「定住者」/配偶者等から定住者への変更に関する資料(PDF) - 生計維持能力・素行要件(納税・社会保険等の遵守)が重視されます(個別判断)。
再婚による「日本人の配偶者等」
新たに日本人(又は永住者)と婚姻し、真正な夫婦関係が立証できる場合は再取得が検討可能です。民法の再婚禁止期間は2024年4月1日に廃止されているため、法律上は離婚直後の再婚も可能になりました(嫡出推定制度の見直しに伴う改正)。
出典:法務省:再婚禁止期間の廃止/在留資格「日本人の配偶者等」
届出・申請・結果通知に関する実務ポイント
届出・変更申請の期限感
- 14日以内の届出(離婚等):入管庁:配偶者に関する届出
- 6か月ルール(配偶者としての活動不継続):在留資格の取消し/判断資料(PDF)
審査期間の目安
審査期間は申請種別・内容により異なります。入管庁は平均処理期間を公表しています(毎月更新)。
出典:在留審査処理期間(平均日数の公表)
一時帰国・帰国時の「みなし再入国許可」
みなし再入国許可の有効期間は、出国の日から1年、または在留期限までのいずれか短い方です。期限管理を誤ると在留資格が失効します。出国審査時は「みなし再入国許可で出国する」意思表示を忘れずに。
出典:みなし再入国許可|入管庁
不許可・取消しを避けるための実務チェックリスト
- 届出義務の厳守:離婚から14日以内に届出(未届出は罰則対象)
出典:入管庁Q&A - 活動実態の整理:「配偶者としての活動」喪失後は6か月ルールを意識して早期に在留変更の方針決定
出典:在留資格の取消し - 生計維持能力の資料:雇用契約書、課税・納税証明、給与明細、預金残高証明 等(個別審査)
- 素行要件:税・保険・法令遵守(未納・違反は不利要素)
- 真正性の立証(再婚申請等):交際・同居・親族関係の実態が分かる客観資料の整備
子がいる場合のポイント(定住者・同時申請の検討)
日本国籍または永住者の実子の監護・養育がある場合、定住者への変更可能性が高まります。学校・医療・生活面の継続性を示す資料(在学証明、通院記録、養育費の支払記録 等)を系統立てて準備しましょう。
出典:在留資格「定住者」
国・事案ごとの追加留意点(例:中華人民共和国籍)
国によっては、離婚公証書・領事認証・公証翻訳など、現地の官方手続きを要する場合があります。取得に時間を要することが多いため、早期着手が推奨されます(必要書類は事案・在留目的により個別判断)。
よくある質問(FAQ)
Q. 離婚したら、いつまで日本にいられますか?
A. 離婚により基礎事実は失われますが、直ちに自動的に在留資格が消滅するわけではありません。ただし、14日以内届出を行い、必要に応じて在留資格の変更申請を検討しましょう。6か月ルールに抵触すると取消しの対象になり得ます。
Q. 離婚歴は不利ですか?
A. 離婚歴そのものが直ちに不許可理由とは限りませんが、真正性の審査が厳格になります。前婚の経緯・破綻理由、新たな婚姻の実態を客観資料で丁寧に説明してください。
出典(制度の参照先):日本人の配偶者等/不許可事例(入管庁資料集)
Q. 家族滞在で離婚した場合は?
A. 基礎となる扶養関係が失われるため、届出のうえ、就労系や定住者など他の在留資格への変更を検討します(個別審査)。
Q. 再婚時の注意点は?
A. 再婚禁止期間は廃止されました(2024年4月1日施行)。ただし、在留審査上は前婚の実態・新婚姻の真正性・生計維持性などを総合評価されます。
出典:法務省:再婚禁止期間の廃止
審査で重視されやすい資料例(事案別)
- 就労系:雇用契約書、職務内容説明、会社概要、学歴・職歴証明、給与支払実績(日本人と同等以上の報酬を示せる資料)
出典:技人国 - 定住者:子の在学・通学・医療記録、監護実績、課税・納税、住居・生活基盤、養育費の支払い等
出典:定住者 - 再婚による配偶者等:交際・同居の経緯、親族・知人の陳述、生活設計、住居・家財の共同性 等
出典:日本人の配偶者等
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